デジモンアドベンチャー第7話「咆哮!イッカクモン」感想
脚本:大和屋暁 演出:小坂春女 作画監督:信実節子 美術:飯島由樹子
丈とゴマモンをフィーチャーの回。タケルとパタモンを残し、一通りの成熟期進化が終わった回でもある。タイトルコールはゴマモン(イッカクモン?)。
雪原の先には温泉と冷蔵庫、中には卵が一杯。調理や食器作りの描写が楽しい。卵に何をかけるかというエピソードが可笑しくて心に残る 。目玉焼きに玉子焼きにゆで卵がたくさん。うまそう!確かに白めし欲しいね。ちなみに卵は日本がまだ貧しかった頃には「完全食品」つまり、牛乳や卵はそれだけで栄養的に網羅できる食品とされ珍重されていたが、現在の栄養学では黄身の脂肪分が高いため週1~2個の摂取が限度とされている。こんなに卵ばかり食べて大丈夫かな;太一はしょうゆ、ヤマトはマヨネーズ、空はソース、光子郎はポン酢を少々。驚いた事にミミは砂糖・さらに納豆乗せだという(この太刀川家の料理をXのポストで実際に作ったファンがいた事が確認できている)。丈はスタンダードな塩とコショウ「ショックだ、日本文化の崩壊だ」との迷言でまた場を盛り下げてしまう。ちなみに私は、半熟の卵の黄身をケチャップと混ぜ白身に塗りたくるのが好き。ごめんね丈先輩。パートナーたるゴマモンにも融通が利かないと呆れられてしまう。
洞窟の空は、朝目覚めて地面に丈の書置きを発見する。
すぐもどる
この場を動かず
まっててくれ
丈
受験生ながら「戻る」と「待って」を漢字で書かなかったのは、下級生への配慮だろうか。(小説では書置きが紙に書いてあることになっている。)
ユニモンを何とか退け、3人が頂上へ着くと、ファイル島が絶海の孤島と知らされる。
丈先輩の活躍、この回で私の丈先輩好きが確定したと思う。単なるギャグキャラでなく群像劇の一人として丈を描こうとしたこの骨太な作品に惚れ込んでいく回だった。ああ私に似た丈のようなキャラでも作品で活躍していいんだ、と心強かった。角銅氏はどのキャラも同じように活躍させたいと気を配ったという。とは言え丈の活躍は、その後小説でも多くのページが割かれ、丈ファン同人の間でもっぱらの評判だったことを付記する。
●丈:最年長として責任感が強いが、弱気で融通が利かなく優柔不断なため皆の信頼を今一つ得られずドジって空回ることが多い。けれど真面目で慎重で、いつも皆のことを心配している。
雪に皆が盛り上がっている時一人寝床や食料の心配をするが、杞憂に終わる。卵を見つけた時も食べられるのか、泥棒じゃないかと心配する。13対1の圧倒的不利な丈の意見。食事中に「うちに帰ればこんな苦労しなくていいんだなと思ってさ」と口を滑らせ場が暗くなってしまう。もう4日も経っている。卵に何をかけるかで皆の意見に驚き迷言をのたまい興奮する始末「僕は落ち着いてるよ!いつだってね!!」。ここで切なく物悲しいSEVENインスト版が流れ、丈の孤立を演出。極めつけは、ムゲンマウンテンに登るか否かで対立する太一とヤマトに仲裁に入ったものの優柔不断な上に自分が逆上し「聞けよ!俺の話も!」といつもは「僕」なのに俺発言まで出てしまう。私は第6話で書いたように勉学に関しては光子郎寄りだが、性格は生真面目で慎重で融通が利かない丈とまるでそっくりなので、この丈の落ち込みようは泣けるほどよくわかる。まるで自分の事のように悔しく悲しく情けないし孤立も感じる。
みんなをまとめられず責任を感じる丈。そして眠れずに、一人洞窟を後にしムゲンマウンテンへ向かう。僕こそが皆を守るんだという一心でユニモンの黒い歯車を取ろうと大胆にも崖からダイブ!振り落とされての大ピンチにゴマモンがイッカクモンへ進化する。
●ゴマモン:お茶目で生意気、アバウトでお気楽なデジモン。一人称がオイラなのがまた、らしくていい。竹順さんの声で「オイラ」言われちゃあハートがズッキュンです!丈とは凸凹コンビでからかっているようで丈の良さを一番よく分かっていて、頼もしい。ムゲンマウンテンに向かう2人のやりとりは実にいちいちもって心温まり、ゴマ丈ファンとして大変満足。「それ手だったの?」は最終話につながる名言。進化したての時、一瞬丈と目を合わせてからのユニモンへの視線、芝居が細かくていい。進化したのは自分が頑張ったせいと強弁するも、丈に素直に礼を言われ照れ隠しするゴマモン、とてもキュート。
●空:丈が場を盛り下げた時、気を利かせて別の話題を振ったり、太一とヤマトの対立に丈が逆上してしまった時も年少者の不安をフォローし声をかけ場を収めるなど、お姉さん的に活躍。丈のことを彼女だけ「先輩」付きで呼ぶ事から、丈の上級生としての立場を擁護しているように見える。
●太一:寒くても雪が降れば雪合戦ができると、場を盛り上げあくまでポジティブ。(しかし、ビギニングにて雪合戦が披露されるとは、時の流れたるやすごい)とにかく前進がポリシー。仲間を思う気持ちは同じだが、冷静なヤマトと何かと対立してしまう。空とともにバードラモンに乗って丈とゴマモンを助けに来るがユニモンに苦戦。
●ユニモン:ユニコーンとペガサスが合体した、本来は賢くおとなしい神獣型デジモン成熟期。目が赤くなるのはなぜか一瞬だけ。EDにクレジットは無く、声優さんを検索すると「藤本教子・のりこ」さんと出るが、少しの鳴き声だけでセリフは無いので、他の回でのユニモンの出演だろうか??成熟期一体だが神獣だけあって、バードラモンを墜落させグレイモンを圧倒する強さ。
<菊池正美さん>私が男性声優さんで一番好きな方。長野県出身、ケンユウオフィス所属。無印当時は、TARACOさんと同じくトルバドール音楽事務所に所属し、TARACOさんと一緒に童謡のCDを出したりしていた(購入しなかったのを後悔している。作詞作曲、ギターの弾き語り
が特技。趣味は蕎麦打ち)。デビュー作は「聖戦士ダンバイン」の端役。「ちびまる子ちゃん」の花輪くん役、「天地無用!」の征木天地役、ガッシュのキャンチョメ役が有名。無印で城戸丈役の他、城戸シン、泉政美、地岡、ジュレイモン、02で城戸シュウ、ビッグマメモン、ギロモン、デーモンなど、テイマーズでドルフィン、ロブ・マッコイ、グラニ、デジフロでネ―モンとナレーション、セイバーズで倉田明宏、ベルフェモンレイジモードを、クロウォでダメモンを、ゴスゲでリュウダモンを演じた。「ぼくらのウォーゲーム」で石田家の祖母キヌ、「未知へのアーマー進化」で城戸家の両親を演じた。
<竹内順子さん>私が女性声優さんで一番好きな方。埼玉県出身。劇団BQMAPおよび尾木プロTHE NEXT所属。デビュー作は「水色時代」の女子高生役。「NARUTO」のうずまきナルト、「Yes!プリキュア5」の夏木りん、マイメロのクロミなどが有名。昔は低めの声がコンプレックスだったようだが、おきゃんな役をやらせたら随一。無印でゴマモンの他にデラモン、ガーベモンなどを、02で月紅、フローラモン、キウイモン、メタルマメモンを、デジフロで神原拓也を演じた。
次回予告:ファイル島の悪魔、黒い歯車を送り込んだ黒幕・デビモンの登場!レオモンの登場に加え、何やら館でのごちそうにお風呂と、盛りだくさんな予告。唯一成熟期に進化していないパタモンの進化はまだのよう。
(2023/11/23 記 11/26更新)