デジモンゴーストゲーム第19話感想

デジモンゴーストゲーム第19話「逢魔ガ時」感想

脚本:森地夏美 絵コンテ:- 演出:角銅博之 総作画監督:石橋大輔、金久保典江 作画監督:北野幸広、鳥山冬美 (2022/2/20 放映)

<あらすじ:公式サイトより引用>
 ある日の夕方、ガンマモンをはじめてのおつかいに送り出した宙。心配しながら後を尾けていると宙の耳におかしな声が聞こえ始め、その場から姿が消えてしまう。一方街を歩いていた瑠璃も突如として姿を消し、慌てて辺りを探すアンゴラモン。瑠璃と宙が消えたのはピッコロモンの仕業だった。人間たちを過去に送り、パニックに陥る姿を見て楽しんでいるピッコロモン。それぞれ過去に飛ばされた宙と瑠璃は、黒い影が蠢く夕方の街を彷徨っていた。果たして二人は元の時代に戻れるのか。そしてピッコロモンの真の目的とは……?

●全体を見て:録画のタイトルには「…はじめてのおつかいの試練」と追加されている。
逢魔時(おうまがとき)、大禍時(おおまがとき)は、夕方のうす暗くなる、昼と夜の移り変わる時刻。魔物に遭遇する、或いは大きな災禍を被ると信じられたことから、こう表記される。黄昏の黄は太陽、昏は闇の意。角銅氏によると、脚本時のサブタイトルは「夕闇の影」。
私はテレビ番組のはじめてのおつかい系は好きでない。番組として設定された時点でもうアクシデントや冒険の要素は嘘くさいからだ。だが無くならないのは一定の需要があるのだろう。今話でなぜ宙が瑠璃の勧めとは言えそんな企てをしたのか、なぜガンマモンがわざわざ一人で出かけたがっているのか、肝心のそれがわからない。単独行動を望むほど短期間で急激に成長したとは思えないので。
ピッコロモンが難解な言語と共に逢魔が時に現われもたらしたのは、別の時空に飛ばされた恐怖と、自分の影?に自分を乗っ取られる恐怖。
前者は、ピッコロモン自身が時空を行き来するのが楽しいから人間を楽しませようとした、悪気のないだけに恐ろしい行為。人間の恐怖の叫びを「楽しい」と解釈していたという大きな誤解。しかし誤解が解かれる様子はなく、勘違いとは言え自分のした事が悪いとは思っていないから、反省もないし謝罪もないまま現実世界に放置。このパターンがこのところ多いけど、キッズアニメなんだから善悪はちゃんと描いてほしい。
後者の恐怖はピカイチ、さすがの演出。自分の影により自分の存在そのものが消えてしまうのだから最大の恐怖。ピッコロモンの言うその時代に馴染むとは、影に乗っ取られてしまう事か。その影とは何者だったのか?不明。パートナーデジモンにそれとして認識されたら、影は霧散した。
技の威力は小さな見かけによらず。べテルガンマモンとテスラジェリーモンの成熟期の連携技とアンゴラモンのダメ押しに、一時はダメージを受けてやばいと思ったか、過去へ行ってその相手をそもそも消してしまおうという禁じ手の対応策を講じる狡猾さ。そんなのアリ?さすがに勝てないかと思いきや。
しかして過去のガンマモンは完全体をコテンパンにするほどの強い個体、未来のそれは独善的なピッコロモンをして敬服させるだけの素晴らしい個体という事がわかった。やはりガンマモンは退化した姿でそもそもはグルスガンマモンなのだろうか。そして順調に進化した場合の未来の姿はどんなデジモンなんだろうか。ガンマモンを暗黒進化させないために北斗が宙に託したという事?

●宙:お兄ちゃんとしてかわいい弟のはじめてのおつかいをフォロー。飛ばされたのは昔の新宿駅付近。飛ばされる前の、照明器具なのかあの独特な風景は、角銅氏のサイトに写真が載っていたから実在する。ガンマモンと呼び合った時、デジヴァイスの力で時空を超えるゲートが開いた。

●ガンマモン~べテルガンマモン:相手が飛ぶデジモンだからカウスガンマモンが出るかと思ったが、せっかく三通りあるのにべテルガンマモンを偏用しすぎでは。影になりかかっていた本物の宙を見分ける事ができたのは、直感?「おかしのむら」でおつかい自体は難なくこなすことができた。

●瑠璃:あちらの世界にある「凌雲閣(りょううんかく)」とは、明治時代に大阪と東京の浅草に建てられた眺望用の高層建築物。浅草のものは12階建てで大正12年に関東大震災で壊れ解体された。つまり瑠璃のいた時代は明治20年代~大正12年の間。悪いものと直感して自分の影から逃げ延びていたが、ついに…。アンゴラモンの名を呼んでデジヴァイスが光った時、ゲートは開いて。デジヴァイスのおかげで異空間へ移動できるなら、DWにもゲートは開けるのかも?

●アンゴラモン~ジンバ―アンゴラモン:うんちくの最中に瑠璃を奪われるという、悔いと焦り。「瑠璃を、返せ!」いつになく感情的な心配ぶりは迫真の演技。ジンバ―に進化したものの出番はなし。「美しき夕方は三日で飽きる。せわしない昼には三日で慣れる。曰くどちらもあるから尊きもの」。「美人は三日で飽きる、不美人は三日で慣れる」が元ネタ。容姿の美醜は恋人選びには些末なこと、の意。三文目は脚本家さんの創作と思われる。「なんかわかるかも」と瑠璃のフォロー、逢魔が時を過ぎ夜になって安堵の一言。

●清司郎組:おつかいの見守り役パート2。宙の心配ぶりがうかがえる。

●ピッコロモン:別次元の高度なプログラム言語を唱え、魔法を操る妖精型の完全体。あらゆる場所・時間・空間に出現できる。いたずら好きで、愛用の槍・フェアリーテイルでコンピュータを暴走させ楽しんでいる(本人に悪気はない)。小さいが見かけによらぬ攻撃力があり、必殺技はコンピュータウイルスを凝縮させた爆弾「ビットボム」。
無印では子どもたちに修行をつけたり、最後には自分を犠牲にして子どもたちを守った味方の良いデジモンの印象が強いので、このような迷惑者として出るとは本当に意外。時空を操作できる点は同じだが、個体によって違うという事か。図鑑の設定通りの登場ぶりなのだから合ってはいるんだが、以前の印象が強すぎて。いたずら好きが高じて、人間を別の時間と空間に移す事で楽しませる事ができると勘違いしていた。また、噂で聞きつけた腕輪(デジヴァイス)が欲しくて、宙たちに目を付けた。楽しませたお礼に腕輪をよこせと、ずいぶん一方的で身勝手な奴。感情が高まると頬が紅潮する。
しかし、過去のガンマモンにボコボコにされ「お前、何者っピ?!」、更に未来のガンマモンと会って「お前、めっちゃすごかったっピ!最高だっピ!僕っピと友達になってほしいっピよ!」「大親友のお願いならお安い御用っピ」態度一変、一体何があったのか、全くもって謎。ともかくも拉致された人たちも開放することで解決というゴスゲでなければ有り得ない終幕。何かすっきりとしない。やはり本人に反省と謝罪はしてほしいし、子どもたちもそれを要求しないといけないと思う。
声は吉田小南美(こなみ)さん、キャトルステラ所属、個人的に印象に残るのは、キン肉マンⅡ世のミート、デジアド02のマイケル(、シャコモン)。

●サラリーマン:声は既出の今川柊稀さん。

●次回予告:極寒地獄の後は炎ですか。良い意味で嫌な予感。登場デジモンは不明。

(2022/2/25 記)

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