デジモンアドベンチャー02第7話「ヒカリノキオク」感想
脚本:前川淳 演出:角銅博之 作画監督:竹田欣弘 美術:清水哲弘
新・旧選ばれし子どもたちは、次々とダークタワーを破壊し征服されていたエリアを開放していく。
タイトルコールはヒカリ、シルエットは無印最終話で撮った記念写真。声はヒカリだが、「ヒカリノキオク」とは、アンドロモンが頭に刻んでいたヒカリに関する記憶のことであろう。恋を賭けての大輔の奮闘(笑)と、操られた完全体・アンドロモンが記憶を取り戻すエピソードが軸。
●フルメタルシティ:今回の主な舞台。壁とドームに囲まれた閉鎖空間の都市にもダークタワーが。洗脳されたガードロモン(成熟期)だらけで、数で戦況は不利。一時撤退を余儀なくされる。みなテレビ画面に吸い込まれるが、最後のヒカリとテイルモンだけがガードロモンの攻撃で逃げ遅れてしまう。
●ヒカリ:Dーターミナルで「私は無事です 心配しないで。」とメールを送信。シンプルで、切迫感はない。が、このエリアには2台目のテレビは発見できず、行き詰っていく。アンドロモンを一目見て、かつての味方だったあの個体であること、自分を本気で襲ったりしないことを感じ取る例の特殊体質、神秘的。その感じたとおり疑わぬ心は感動的。近づかれ持ち上げられても取り乱すことなく正面切って向かう強靭さも魅力。
●タケル:大輔の指摘にヒカリに目が行き届かなかったことを後悔。何せ初めて男として意識した守るべき存在だもの。その隣のエリアなら、と機転を利かせてすぐさまDWへ。お台場のスーパーは作中でマルエツならぬ「カクエツ」だが、タケルはここではなぜか「カドエツ」と言っている。母の帰りが今日は遅いと把握、母子の意思疎通はよくとれている模様。大輔の名が先に呼ばれたことに、良かったね、と余裕。「デジメンタルアップ!」のバンクも他の3人に比べタケルとヒカリは軽く微笑んでおり、歴戦の勇者の余裕が感じられる。
●パタモン:エンジェモンとエンジェウーモンがお似合いカップルとの自覚あり、大輔をからかうのはちょっと意地が悪い。大輔のコインの賭けも、バカみたい、と辛らつ。
●大輔:ヒカリの件だからして頭に血が上ってタケルや伊織に難癖。でも素直に反省するのは好感が持てる。もし自分がヒカリの手前だったら、さぞ自責し大変だっただろう。帰りが遅くなるのに「構やしねえよ」とがさつな認識。助けに行くのに賭けなんて姑息な戦法はタケルにまるわかり、笑。かわいらしいパタモンの神々しくもたくましい通常進化ぶりに腰を抜かす、笑。助けに行ってヒカリに先に名を呼ばれただけで大得意。恋は盲目というが、ほんとになんでこの脈のない恋に没頭できるのか、私には彼の心境がわからない。片思いの実りのない恋を描くスタッフに悪意すら感じる時がある。
●ブイモン:大輔の嫉妬からいきなりウルトラエンジェモン(一応、どんな姿か想像してみた、笑)になれと無理難題。大輔の片思いを応援はするけれど、天使系じゃないから無理…。それでもこの先、すごい進化をするのだから、ドンマイ。フレイドラモンが大輔を抱えて飛び回る姿は、爽快。
●京:父(遠近孝一さん)からの伝言を忘れてしまうアバウトさ。「愛と純真のお店 アイマート」、そうなんかい笑。兄姉がいる模様、コンビニのシフト組むのって大変だから助かるはず、ちゃんと伝言しなきゃ。テンパってしまい伊織に制されるのは、最年長で気負っていた丈とは真逆。
●伊織:大輔にガキ呼ばわりされ立腹は正当。消耗戦は不利、とか夕食の時間で親が心配するからまず連絡をとか、最年少なのによく周りの状況を冷静に見ている。まだ携帯電話が普及しておらず、太一への電話は公衆電話から、時代です。太一を呼んできた時京に、礼儀正しくもファーストネームでなく「八神さんです」と伝えている。先輩しかも中学生だから?ヒカリのことは「ヒカリさん」である。
●ディグモン:満腹で登場、愛嬌たっぷりで笑。でも完全体には苦戦。
●太一:伊織から連絡を受け、後を追う。帰宅して間もないからか私服だと描きづらいからか、私服でなく制服姿(ヤマトも光子郎も)。太一の顔もゴーグルももちろんアンドロモンの記憶に残っていた。夕食の時間だ、皆の帰宅を促す。夕ご飯は家で摂る、02の冒険のお約束。
●ヤマト:父との夕食は今も当番制。デート、モテ男はつらいぜ。あまりのショックに料理を焦がして、お気の毒だが、笑えてしまう。すっぽかそうとか考えないまじめさ。
●光子郎:皆の不用心さを叱る。本当は自分も参加したかったのだろうという太一の指摘は図星か。デジヴァイスのデータを友人が解析し、D-3と呼ぶことにしたとの連絡が。Digital、Detect(見つける、見破る、探り当てる)、Discover(発見する)という刻印。命名が米国の誰ともわからぬ友人で光子郎当人でないのはファンとして少し残念。
●ジュン:ヤマトの口下手が悪いほうに出たのか、嘘を見破った女の勘は恐るべし。ヤマトの眼中にないのに、このがさつな押しの強さはこの姉弟にしてこの姉あり。どんな家庭教育を?終盤で「悩みなどない」と言い切れた大輔を思うと、それは成功しているのだろうか、それとも大輔個人の良き資質か。
●アンドロモン:SAME HUMAN、SAME ITEMと認知する理性はリングで制御され切らなかった(ただ同じ画面のデジ文字は意味不明な羅列「こぎ?みるごぐ?ぐ」)。満ち溢れる聖なる光、ヒカリから落ちた涙とデジヴァイス。そして自らイービルリングを破壊するという英断、イービルリングの効果はそこまでということ。みんなで記念写真を撮った記憶がよみがえり、正気に戻る。そして、憎きダークタワーをガトリングミサイル一撃で破壊 する。ガードロモンのデータを元に書き換え、この都市を守ることにする。梁田清之さんについては無印感想で言及したので02では省略。
●デジモンカイザー:逃げ遅れたヒカリを見て、イービルリングの完全体への使用を試みるあざとさ冷徹さ。選んだのはアンドロモン。結果、操るには無理があると。では次の手は…?賢の夕食はハンバーグと目玉焼きと複数の付け合わせ、サラダ、味噌汁、お茶と盛りだくさんだが、母は腫れ物に触るようで、賢は親と食卓を囲んだりはしない。父もガツンと言わずそれを結果として容認していると思われる。インタビュー時から日が経ち、さらに冷え切った親子関係。
●ワームモン:「賢ちゃん」と呼ばれ「その呼び方はやめろと言っているだろう」と怒るカイザー。つまりは何度となくそう呼ばれていたという事実。その呼び方にワームモンはこだわってるんだよね。虐げられてるようでいて、意外と我を通す根性がある。賢も賢で、パートナーであること自体は容認しある意味依存していると言える。完全なイエスマンではなくワームモンをそばに置いている理由…
次回予告:サッカーの試合で大輔は、噂の天才少年・一条寺賢にけがを負わせてしまう。そのあとDWで対戦したデジモンカイザーも同じ部位にけがをしていた。それってつまり…
2026.8.14 記