デジモンアドベンチャー02第8話「デジモンカイザーの孤独」
脚本:西園悟 演出:梅澤淳稔 作画監督:八島善孝 美術:飯島由樹子
完全体のアンドロモンは、イービルリングでは十分に操れなかった。次はどう来る、カイザー。戦いは続く。
タイトルコールは賢。「孤独」のフレーズがテンション低いのはさすが。シルエットは右から賢の全身像ときつい横顔、寒色の緑の背景。そして左へデジモンカイザーの笑う横顔と全身像、背景は攻撃的な赤とオレンジ。何不自由ないはずの天才がなぜ征服などという愚かな行為を?02では珍しくこの回だけ、無印でおなじみの西園さんの脚本で、「孤独」と銘打ちながら、賢/カイザーの孤独を直接的には描いていないのが深い。愚かな行為をする理由は、その孤独にあるのか。
●大輔:背番号は18。サッカーのこととなるとキリリとして自信も闘志も満々、主人公の面目躍如。優勝した田町FCに「相手にとって不足なし」と豪語するほど。勝ち負けは関係ない、戦えるってだけでワクワクするとも。サッカーへの熱中ぶりはすごい。コーチのCVは平田弘明さん。
10点目を賢が決めようとした瞬間、大輔がスライディングアタックを一発かまし賢のシュートが失敗する。ここは、大輔と賢の関係性を表す象徴的なひとこまだ。ちなみに大輔は事前のチーム内での練習でも全く同じアングルでアタックを成功させていた。キックのせいで賢の右足をケガさせてしまった大輔は、賢に謝りに行くと、賢「君こそさっきのプレーは見事だったよ」大輔「あそこまで点差がついたら司令塔を狙うしかないってヤマ勘張ってたんだ」。賢に名を覚えてもらったのがうれしく、負けてもさばさばしている。賢のサッカーを本当に尊敬し認めていたからこそ、なぜこんな間違ったことを平気でするのかという疑問を持ったし、改心後の受け入れも早かったのか。
大輔は実力行使に出て、カイザ ーに力ずくで飛びかか る(カッコイイ!これぞ大輔)。フレイドラモンのファイヤーロケットがデルタモンのトリプレックスフォースを破り(カッコイイ×2!)イービルリングを破壊する。 「二度も」とのカイザーの言葉をいぶかる大輔だが、カイザー「君がいざとなれば周囲には目もくれず司令官に突っ込んでくる奴だってこと忘れてた」カイザーの右足のケガと、サングラスを外したカイザーの顔に、すべてを悟る。カイザー自ら正体を明かした。今日のところはと負けを認めエアドラモンに乗って去るカイザー。一乗寺賢が、カイザーだったなんて「俺、お前のこと尊敬してたんだぜ、同い年なのにすごい奴だって。なのに、何でなんだよー!」。
●京:大輔がメインな分もあって、前半ギャグ担当を一手に引き受けた。以前は「プログラムぐらい書ける」と賢に対抗心を見せていたし年下男子は本来好みでないのに、いつの間にかミーハーな賢ファンへと変貌。サイン欲しいとか美形とか「間接握手」「美意識が許さない」と悶々とか笑。彼女の美意識と言えば、第6話を思い出す。いや、サインもらってよと言った時大輔の手握ってたじゃんか;何をいまさら。母は3歳姉さん女房。
●ポロモン:横に延ばされたり盾に縮められたりほほを引っ張られたり、ご苦労様。
●伊織:テンパる京にその都度合いの手やツッコみ。多すぎるわいとこっちがスタッフにツッコみたくなります笑。「スキが無い」剣道家の目から見てもわかるもんなんだね。
●タケル:「周りが見えてる」、部活かどうかは不明だが、バスケに親しんでいる模様。
●ヒカリ:直球で大輔を応援するが、大輔がサッカーとあらばデレッとした態度を一度も示さないから珍しくも頼もしい。
●賢:東京都少年サッカー大会で優勝した田町少年FCに所属。背番号は7。とは言え、メンバーというよりお客様にして司令塔という特殊な立ち位置(つまりは天才ゆえの孤独)。女子の取り巻きがいて、タクシーで遅れて来て、太一の言うところの「テクニックだけで言えばユースの代表クラス」の実力とチームへ指示する役目も。大輔との握手の時に賢の腕は白い。日焼けするほど屋外で長時間いるのでなくあくまで助っ人ということだろう。「外せない用事」というのはデスバレーのダークタワーづくりのこと。仲間が応援に来ている大輔が腹立たしくも実はうらやましいのでは。
●デジモンカイザー:大輔のナイスプレー(と、仲間との仲の良さ)にプライドが傷つき思い切り根に持っていた。土下座、なんてベタでおっさん臭いいじめ方、ひくわぁ。さらにブイモンに大輔の頭を踏ませ、挙句に砂時計が落ちるまでに助けたい者を一人だけ選べ、でなければ皆殺しだという。いわゆるドSですな。真面目に言うと、両親からの微妙な精神的虐待の被虐待児。本当の殺人とは思っておらずゲーム感覚なのが恐ろしい。
●太一:「気を抜いてる暇はない」「守りに入るなよ」「同じ小学生」「せめてまともなゲームができるようになってから言え」いくらサッカークラブの先輩とはいえ、大輔のサッカーへの評はとても厳しい。前の冒険でもサッカーでも、歴戦の勇者。それだけ大輔を自身の後継者と認めているのだろう。
●パタモン:吊られ方がなぜか一人だけ独特で、可笑しい。
●デルタモン:成熟期。「好物は三色パン」というかわいい設定、笑。知性的には見えないが、エサを目の前にしてカイザーの指示を守るとは。
●バケモン:成熟期。各キャラの見た目だけでなくリアクションや発言までそっくりの驚きの再現度。選ばれし子どもたちからバケモンに戻る描写がグロテスク。フォーメーションA~Fに加えアタックというカイザーの7つの指示を記憶しており、知能が高いよう。
●ワームモン:失態というよりむしろ4人と4体をよくこれだけの時間拘束できたな、虫が。どうやって?「賢ちゃん」てまた言ってるし。
●「僕は僕だって」:作詞は松木悠さん、作曲は千綿偉功さん、歌は和田光司さん。賢が参戦すると曲は変わる。
次回予告:賢はついに現実世界に別れを告げ、真のデジモンカイザーとして征服を極める。そしてグレイモンを支配したものの…
2025.9.16. 記