デジモンアドベンチャー02第9話

第9話「イービルリング魔力の暴走」

脚本:吉村元希 演出:吉沢孝男 作監:信実節子

日曜日、サッカーの試合で賢に一矢報いた大輔。それが賢のプライドを傷つけた。

カイザーは、一乗寺賢を名乗りこれからは本気で戦わせてもらうと言い捨て、大輔たちの前から去った。インタビューを受ける自分の映像を流しながらうつむくカイザー。インタビュアーが触れた肩を汚そうに振り払う賢。先生に頼まれて受けたインタビューだったが、先生はさらに自分の娘の家庭教師まで頼もうとする。不快感を隠して、礼儀正しくお断りし、娘(由利子という)へのサインだけ受ける。時刻は4時59分。大人なんて所詮自分勝手だ。天才少年に表面的にかかわってもてはやし、真の賢という個人を見ようとしない。賢は舌打ちする。

帰宅した賢に、母が声をかける(夕食はまたハンバーグらしきものが・・)。だが賢は食べずに箸を置いてしまう。穏やかで優しいが、マスコミに乗せられ浮ついている感のある両親。屋上でひとり「虫けらが!」と叫ぶ賢。とてつもない孤独、疎外感。

大輔は、光子郎にデジモンカイザーが一乗寺賢だと報告する。光子郎は、賢と直接コンタクトを取ろうと提案する。京が差し入れを持ってやってきた。チョコ、チーズ入りかまぼこ、ドリンクゼリー、アイス、デジモンたちは現実世界の味にすっかり魅了されている。ポロモンだけは、伊織の母のかんぴょう巻が恋しい、でも食べちゃうv(稲荷ずしを)、和食好き。京は、賢の載っている雑誌も持ってきた。「城南大学情報工学部の祥月教授と共に研究を重ねていく一乗寺賢君(小学五年生)」という記事だ。成績優秀、スポーツ万能、しかも美形の優しそうな少年があんなひどいことをするのか。にわかに信じがたい子供たち。京なんかいまだにファンのようで、こういう子が本当に選ばれし子供だと言っちゃってるし。タケル「見た目と中身がいっしょとは限らないけどね」って、君が言うか(第19話)。

雑誌の記事を書き起こしておきます(著作権に触れるか?;)ファン魂で。

東京都港区にある、自宅の
彼の部屋には、最新式のパ
ソコンが設置されていて、
とても小学生が使いこなす
ものには思えないものまで
揃っている。
そのすべてを、彼は完璧に
使いこなしている。
その姿は、まさに神童とし
かいいようのない神々しさ
をはなっており、彼が天才
の名にふさわしい少年であ
ることがわかる。また、今
回、彼の作成したパソコン
ソフトは、今後、これまで
の基本ソフトに対して、大
革命を起こす可能性がある
と祥月教授は考えており、
業界各社も目がはなせない
存在といえる。

光子郎は、雑誌の賢の背景のマンションから、賢の住所を特定する(光子郎さん、科捜研なみの腕・・;)。

その一乗寺家では、日曜のサッカーの試合以来賢が自室にこもって登校すらしないのを両親が案じている。母によると、学校の先生も賢の頭が良すぎてお手上げだという。父は無責任だと学校教師を非難するが、果たしてそう言える親だったのかは大いに疑問だと思う。父がドアを無理に開けると、部屋にもベランダにも賢がいない。そしてパソコンの画面には

モウ コノセカイニ
ヨウハナイ。  サヨウナラ
   ムシケラドモヨ

というメッセージが残されていた。動揺する父、泣き出す母。大輔たちがマンションに着くと、賢が行方不明でパトカーが出る騒ぎになっていた。

日曜に賢がいなくなって、もう火曜日。光子郎が調べると、賢の不在とともに黒いエリアが増えているとわかる。現実世界に帰ってこないつもりなのか。いずれにせよ手強くなるだろう。時刻は4時59分、遅いけれどすぐ帰るよう光子郎が指示し、とにかくデジタルワールドの様子を見てこようと、子供たちは出発する。蹴られたワームモン「これからはずっと一緒にいられるんだよね」足の動きがムカデみたいでちょっとキモ・・。「一乗寺賢、どこだ!」と大輔(あくまでカイザーと呼ばないのが大変印象的)。着いたのは、炎の吹き出す原野。メラモン(成熟期)が現われ、フレイドラモンの炎(ナックルファイヤー)もホルスモンの風(テンペストウィング)も逆効果で、ディグモンがビッグクラックで原野を割って落とすが、メラモンたちはマグマから蘇ってしまう。ぺガスモン、ネフェルティモンの出番だ。

その間にカイザーは、グレイモンを捕えイービルリングをはめる。成熟期(カイザー、成熟体って言ってますけど)から闇のデジヴァイスでコントロールすれば、完全体のメタルグレイモンを操れると考えたのだ。周囲への不信感や大輔に負けた傷が、狂気を倍加させていく。しかしグレイモンは、闇の力でスカルグレイモンに進化してしまう。タケル「逃げるんだ、まともに戦って勝てる相手じゃない」顔が引きつってます、無印第16話のトラウマ。スカルグレイモンはカイザーに従うはずもなく暴走し、フレイドラモンたちを退化させ、グラウンド・ゼロの閃光でダークタワーまで破壊してしまう。カイザーが止めようとして投入したダークティラノモン(成熟期)たちを襲った末に退化した太一のアグモン(例によってヒカリがそう認識)は、ヒカリの叫びもむなしく再びカイザーに捕われる。様子を見てすぐ帰るどころじゃなくなってしまった。

アグモンのエリアが黒くなったことに気付いた光子郎は、伊織からのメールを受信する。

太一さんのアグモンが、デジモンカイザーに
囚われ、アグモンはスカルグレイモンに
暗黒進化しました。
急いで太一さんに連絡して下さい。
お願いします。

「デジモンカイザーはデジタルワールドを崩壊させるつもりなのか?」・・・何てこと、次ぐ言葉を失う光子郎。どうする太一!

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