デジモンアドベンチャー02第12話「デジモン牧場の決闘」感想
脚本:浦沢義雄 演出:今村隆寛 作画監督:伊藤智子 美術:飯島由樹子 <2000.6.18. 放映>
ためらいを捨てた大輔は新たに友情のデジメンタルを手にする。ブイモンがライドラモンにアーマー進化し、アグモンを取り戻した。
タイトルコールは複数人、シルエットはスターモンとリボルモン。背景は夕日のような赤い円形。 サブタイトルはアメリカの西部劇映画「OK牧場の決闘」が元ネタであろう。シビアな冒険の息抜きになる、浦沢脚本笑。ゲストキャラのスターモンとリボルモンが主役を張った。
●西部劇の街:全編西部劇テイストなのだが、BGMにはエキゾチックな「伊織のテーマ」が全編にわたり多用された。酒場から流れてきたのは自動演奏ピアノが奏でるジャズの名曲「茶色の小瓶」。荒地、砂嵐、酒場、木造建築、牛の鳴き声と首輪の鐘の音、風に削られた岩、青空。ダークタワーは見当たらなかったが、結局スターモンの処刑台に隠れていて、破壊できた(伊織の、砂嵐で埋まっていたとのコメントは当たらないように思う)。
●スターモン:突然変異型の成熟期。必殺技は流星群を降らせる「メテオスコール」。DWの西部の街の自称正義の保安官を務めている。ウエルカムミルクを皆にふるまう。西部劇で主人公や相棒がバーなどへ行き、酒を注文したはずなのにミルクを渡され「坊やには、ミルクがお似合いだぜ」と言われるシーンの元ネタは、1939年の西部劇「砂塵」で、ジェームス・スチュアートが演じたトム・ディストリーJr.というキャラクターが元祖。この男、ガンマンなのに拳銃を持たず、酒場ではミルクを頼む一見すると軟弱者だが、実は凄腕だ
スターモンは、デジモンカイザーの手下だった。イービルリングと言う言葉を聞いてスターモンはミルクを吹きだしてしまい、失礼を詫びるためテンガロンハットを取ると、そこにはイービルリングががはまっていた!カイザーがどこにいるか尋ねられ「イービルスパイラルのご改良中」。「改良中」と言ったあとわざわざ言い直すのもカイザーへの敬意を感じる。リングをはめている自覚はあるし、操られているというよりカイザーのファンでは?部屋にカイザーのポスター貼ってるし、手作りであろうお弁当箱袋もカイザーLOVE仕様笑。「スターっと」処刑、これが口癖笑。宿敵・リボルモンの侵入に怒る。
CVは坂口候一さん。81プロデュース所属の声優にして舞台俳優。「劇団一の会」の座長もしておられる。名バイプレーヤー。
●リボルモン:突然変異型の成熟期。リボルバー式けん銃のような体をした、西部のガンマンのような姿のデジモン。自称「正義の味方」でスターモンのライバル。ギャンブルと女の子が大好き。必殺技は、胴体の銃口から正義の銃弾を撃ち出す「ジャスティスブリット」。馬車の馬はいないのになぜか馬のいななきと足音を伴って牢屋に現れた。暇なんですかね。またも正義を名乗る者の出没に子どもたちは疑い気味だ。リボルモンは、股間も含め笑(効果音、笑)、身ぐるみはいで(*^^*)イービルリングがないことを証明し、女の子だけをトランプの相手として牢屋から出す。伊織「ろくでもない奴と言うよりは変わり者なのでしょう」。器用なのか、ガンさばきも見事だがリボルモンのトランプさばきも鮮やかだ。空たちは、調子を合わせ七並べを始める。そこにスターモンが現われ、決闘を申し込む。「決闘?そりゃ結構!」。言葉遊びが得意なようで、決闘でも卑怯な手を使った「勝てば正義」。本当に、どっちがイービルリングを付けられてるかわからないほどのワルっぷり。
正義とは言い難い決闘に立ち会わされる空たち。リボルモンがジャスティスブリッドの乱発で弾切れで敗れ、スターモンは次の標的を空たちに向ける。ライドラモンが立ち向かうがメテオスコープにやられる(防御力は弱いのか)。今度はフレイドラモンに再進化しファイヤーロケットでスターモンをふっとばし、処刑台の土台になっていたダークタワーも壊れる。カイザーの支配は解け、西部の街は救われた。が、事件は解決したからとリボルモンがまたもトランプに誘ってきて、子どもたち脱力笑。「今度はババ抜きしよう」昼食の時間を過ぎて夕方になってしまう。朝からいなくて、ご家族、心配でしょうに。最後に夕日を背景に出てくる看板のデジ文字は「りぼるもん ぼくじょう」と、これは正しかった。そう、不正確ならデジ文字わざわざ使わないでほしい。
CVは草尾毅さん。青ニプロ所属の声優、歌手、ラジオパーソナリティー。洋画にアニメ、熱血主人公から美形な青年と演技の幅は広く、デジモンではクロウォ(キリハ、バリスタモン、バグラモン、OPナレーション、時計屋のおやじで大活躍)、アドコロの丈でも出ておられる。
●空:男女混合のサッカーチームから中学では心境の変化かテニス部へ。白いテニスウェアがまぶしい。シャツもミニスカートもリストバンドも靴も靴下も白。部活中に虫の知らせ、第六感でカバンの中のデジヴァイスを覗くと「ぴよもん」とのSOSメッセージが。
皆のDターミナルに「ピヨモンからSOS」と送信。気づいたのは伊織とチビモンだけだった。キャラの人数を絞る必要があってのことだろう。入れられた牢屋には、ピヨモンもいた、探す手間が省けたというか幸運であった。テニス部員が「ありさこさん」と呼ばれているが、キャスティング担当の有迫俊彦氏からの引用だろうか?
●ピヨモン:エアドラモンに追われ西部の街へ来たが、スターモンに襲われ傷つき拘束されていた。カイザーの支配のもと、指名手配されていた。スターモンの指パッチン(どういう仕組みか)で表示された手配書は「WANTED いにしへの のなかふるぎあらためぼ」と、デジ文字が意味不明。せっかくデジ文字を描くなら作画さん、何とかならなかったんでしょうか。ピヨモンの表情が悪党そう。よくそんなショット撮れたな。それとも似顔絵?空っぽの鳥かごが彼女の拘束を暗示している。空に「来るの遅い」「許してあげる」と、ちょっと拗ねていたのがかわいい。
●大輔:ひどい砂嵐に、ゴーグルを使用する姿が見られたのはラッキー。
●ブイモン:チビモンは大輔の小遣いでカップ麺やお菓子を爆食、大輔赤字でかわいそう。ブイモンヘッドの頭突きをもってしても、牢屋の壁は頑丈であった。
●伊織:空の通信をキャッチして、朝ご飯抜きでマンションから出動。途中京も巻き込んで。牢屋からロープを利用してお弁当を拝借するのに成功。
●アルマジモン:剣道の防具を付けた素振りするウパモン、かわいい。スターモンとリボルモンに「自分で正義を名乗る奴にろくな奴はおらんがや」ごもっとも。この回における金言である!!うまそうなサンドイッチ8枚をブイモンと分け合って。満腹になれば、牢屋の壁もディグモンの得意技で壊せた。
●京:休日の御台場小のセキュリティはザル。「デートだったりして」と大輔をからかう。やめてあげて。出動コールはいつになく大仰で笑える。
●ホークモン:「あたしたちは?」。女の子ではないのだが、女の子の連れということで?解放される。
●ヒカリとテイルモン:テイルモンが珍しくおめかしして、散歩へ出かける。飼い猫に見えるので隠す必要がない。場所はお台場海浜公園、風が気持ちいい。そのプライドの高さと実力でか、ヒカリに「王子様」と呼ばれる笑。この二人の日常風景の描写は、次回の非日常への布石か。
●タケルとパタモン:鼻ちょうちんで爆睡中、笑。
●デジモンカイザー:イービルスパイラルの量産を目指して改良を重ねている。
次回予告:次回のサブタイトルは「ダゴモンの呼び声」。暗い異界へ引きずり込まれるヒカリ。その呼び声の主とは?
2025.11.4. 記