デジモンアドベンチャー第25話感想

デジモンアドベンチャー第25話「眠れる暴君!トノサマゲコモン」感想

脚本:大和屋暁 演出:芝田浩樹 作監:清山滋崇 美術:清水哲弘

太一がいなくなった日から2か月が過ぎて。ガブモンはワーガルルモン、テントモンはアトラーカブテリモンに超進化する。太一と丈がたどり着いたそこには…。

タイトルコールと爆唱するシルエットはトノサマゲコモン。

スワンボートのくだりに始まり、大和屋さんの脚本がこんなにもギャグ風味が多いのは少し意外だ。デジヴァイスの反応で太一と丈がたどり着いたのは、大きなお城。眠り続ける殿様を起こすためには上手な歌が必要。ピコデビモンの悪だくみに乗せられたゲコモン・オタマモンの願いを盾にして、歌の上手なミミはわがまま放題のお姫様プレイをしていた。合流を迫られるも断り、太一らを牢屋に入れ、パルモンに嫌いと言われてしまう。本当はわがままとわかっていたが、それに気付かせてくれたのは空からの静かな声かけだった。素直に過ちを認め、純真の紋章の輝きを取り戻したミミは歌う。けれど、覚醒した殿様はとんだ暴君だった。

●ミミ:お城は日本式で屋根瓦とシャチホコのようなオタマモンの飾り付きだが、扉は洋風、内装はミミの趣味であろうピンク基調のかわいい洋風。部屋には、女子の憧れたる天蓋付きベッド・ハート形のソファ・果物の盛り合わせ・ピンクのバラの生け花・ハート形クッション・チューリップ柄の壁紙・ウサギと猫のぬいぐるみ・ハート飾りのタンス・鏡・ハイヒール、笑。お風呂にふかふかベッドにごちそう、何よりお姫様という好待遇を捨てて危ない旅に出るなんてと取り付く島もない。太一らが座り込みを決め込むと、ゲコモンを呼びつけ城外へ出してしまう。お姫様ドレスを着ているものの、紋章入りタグはさすがに手放さず就寝時さえ肌身離さないのが一縷の望み。ミミの歌はまんま「I Wish」。確か最初はAiMでなく前田愛名義で歌っていたはずだから、不自然さはない。ただ、挿入歌にI Wishのクレジットはなかった。本当はデビモンやエテモンが怖くて、自分のわがままがどう受け取られているかわかっていて、悪夢にうなされるのはちょっとかわいそう。仲の良い両親に怖い思いなどせず育てられた箱入り娘には未経験の怖い旅であっただろうし、悪夢など見たことも無かったろう。虐待サバイバーの私は見る夢の95%が悪夢で、内容は「悪者にどこまでも追いかけられる」「課題をいくら頑張ってもこなしきれない」「自殺や他者の死」がほとんどであるから、悪夢の怖さはよくわかる。空の声かけには、素直に反省。

そしてついに歌うことに「謝って済むことじゃないかもしれない、だけどあたし気がついたの。みんなにひどいことしたのに気付いたの。だから、だから…(涙)」。流れるのは甘く切ないSevenのインスト版。正式名称は長い。「友情~闘いのテーマ~(From‘‘Seven“”)」すいません記号が正しく入力できません汗。誰も責めたりはせず、ミミの歌うのを望んだ。会心の歌声に皆ノリノリ(このポーズがかわいい。)。「♪(略)希望になってく~」すると!

●パルモン:頼みの綱のはずが、ずっとミミのそばに居ながら、ドレスまで着込んでミミの暴挙の片棒を知らぬ間に担いでいた呑気なお間抜けさ。気付かされて、「こんなことするミミなんて、大嫌いよ!」。ミミも売り言葉に買い言葉、だが本心はとてもショック。トノゲコの大暴れにミミをかばってトゲモンに進化、仲直り。この回では超進化しない。他のパートナーデジモンと違って完全体への進化はだいぶ遅くなるが、意図があってのことだろうか。

●太一:諦めて帰るわけにもいかない。ゲコモンらに事情を聞いて、自信たっぷりに歌唱を試みるが。「♪星に願いを、腹にプリンを乗せた時、今日はダメでも明日はとれるよ~」。無印の子どものキャラソンは実質単発でなくCD「デジモンアドベンチャー ベストヒットパレード」に収録されている。それで、藤田淑子さんと菊地正美さんの歌唱がずば抜けてお上手なのを知っているから、お二人がへたくそに歌うことを楽しんでおられたのではと想像する。不合格を意味する鐘の音がご愛敬。録音という手を思いつくが、その機材とカラオケセットはどこから?この作戦はばれてしまい失敗し、牢屋行きに。

●丈:「♪のどにうがいを、カゼにフライドポテト、生姜湯がない、汗が冷えるよ~」医者一家だけにそう来たか、笑。牢屋で寝てる時メガネを外した横顔が個人的にツボですv

●アグモン:ゴマモンと共に「♪干し柿を、風に揺らせば?、美味くなる、今日は食えない、明日は食えるよ、きっとね~」わかってますとも、お二人も歌がお上手なのは、笑。誰も殿の復活はできず、ミミの歌声だけが頼り。誰もがうすうす感じてはいたが、パルモンのことをはっきりと「変な声」と、笑。お前が言うか、笑。溝脇さんのお声、独特で好きですv

●空:城の外で、ミミの顛末を見ていた。「じゃあどうすればいいか分かるよね」「うん」「良かった、ミミちゃんほんとはいい子だもんね」流れるのは、「歌と音楽集」に未収録のやさしくしんみりした曲。ぜひ未収録曲でもう一枚CD化を!ミミにとって姉のような存在のその来訪は夢か現実かおぼろげで。結局この回でも空が身を隠す理由は明かされなかった。

●ゲコモン:見た目の奇怪さからは想像できない心地よい鳴き声で魅了する両生類型の成熟期。首にホーンを巻き、三つの穴がある舌先を持つ蛙のようなデジモン。穴は和音を奏で、ホーンのアドリブは相手の気持ちをコントロールできる。必殺技はそれらの音での「クラッシュシンフォニー」。お姫様のお望みは五目チャーハン・冷凍焼うどん・おからの味噌煮地中海風…その味覚センスって思い当たるのは…笑。実際初めに出てきたのはすごいごちそう(肉塊はハンバーグ?・餃子・肉団子・伊勢海老・鶏の丸焼き・ケーキ・果物・寿司・煮魚・カレーライスなどなど、よく細かく描かれてます)。CVは菊池さん・平田さん・山口さん?・竹内さん。

●オタマモン:歌が好きな、両生類型の成長期。お姫様のお望みは趣味の悪い水玉ドレス・バッタモンの指輪…これもぶっ飛んだセンス。CVは水谷さん・?。

●トノサマゲコモン:両生類型の完全体。両生類なのに哺乳類にあるはずの出べそがある、笑。殿様のちょんまげに似た触覚を持つゲコモンのアップバージョン。その発生はカラオケの採点システムが最初というふざけたデジモン。双肩から伸びた二連のホーンが主旋律を奏で、ゲコモンより低い歌声は殿様の貫録を感じさせる。必殺技は低周波で敵のデータを震わせ破壊する「コブシトーン」。300年も前に、カラオケ勝負に負けたショックで眠りについたらしい。復活させるには、負けた時以上の美しい歌声を聴かせる必要があるというまゆつばな伝説の、なんとも面倒な存在。そこをピコデビモンにつけ入れられた。しかしこれが、ミミの歌声にはわずかに反応を示した。復活させたい一心のゲコモンたちを、ミミは出来心でちゃっかり利用したのだった。初めは誘われるままに歌ったのが、いつしかそれが、ミラーボールに応援隊などとエスカレートしていった。

覚醒ののち歌うのはド演歌「♪あなたのおそばに置いてほしいのよ~にゃ」「♪それが女の意地なのよ~にゃ」。語尾の「にゃ」は松尾さんのアドリブか。敵ではないのだが、「いい気分で寝てたのに起こすとは」とキレて離れを破壊し大暴れ。ふざけたなりだが攻撃力は強い。仕方なくメタルグレイモンがギガデストロイヤーを二つのホーンにお見舞いし、再び眠りについた、やれやれ。ここで流れるのはミミのテーマで、シメ。

●ピコデビモン:「お世話になっております」と何かの通信手段でもってヴァンデモンに他人行儀なあいさつを。ゲコモンたちを丸め込み、ミミの紋章が発動しないよう根回しした犯人。他の子からは紋章を奪えないので別の手に出たのか。今度は重りを付けられて火あぶりの刑。逆に言うと命は取られずにやり過ごせたのね。

●ヴァンデモン:後姿だけではあるが、シルエットでなく、着色もされて登場。いよいよだ。

<トノサマゲコモン:松尾銀三さん>2001年8月、急性くも膜下出血で49才で急逝。自身が代表を務める事務所や劇団の運営、さらに外部への客演、アフレコなど働き詰めがたたったと言われる。銀プロダクション初代社長で、コメディをメインとした。個人的には、どれみのオヤジーデや忍たまのヘムヘムが印象的。2001年夏の東映アニメフェアで上映されたテイマーズとキン肉マン二世が両方事実上最後の作品となった。デジファンとして哀悼に耐えない。

次回予告:仲間たちが合流するのに、なぜ空は一人でいようとするのか。赤い満月の夜、子どもたちの前に正体を現したヴァンデモン。仲間を守るため、バードラモンが超進化!

2025.3.19.記

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