デジモンアドベンチャー第9話感想

デジモンアドベンチャー第9話「激突!冷凍デジモン」感想

脚本:前川淳 演出:川田武範 作画監督:清山滋崇 美術:飯島由樹子

タイトルコールはヤマト。デビモンの罠に落ち、ファイル島とともにばらばらにされる子どもたち。デビモンはムゲンマウンテンの頂上の宮殿で、子どもたちを一人ずつ血祭りに、と余裕をかましている。ホントいけすかねえ奴。今回は、太一とヤマトが取り上げられた。

郵便ポストがずらりと10個並んだシュールな雪原に辿り着いた太一とアグモン。太一の凍った服をアグモンが乾かしてくれるが、焦げてしまったのはご愛敬。レオモンは、皆はどうしたかと単眼鏡で視認するも、手掛かりはないし、アグモンもファイル島内のことしか知らぬと。小学生がこの過酷な状況で、今現在でなく未来つまりは海の向こうの世界を視野に置く太一は凄いと思う。大人しいはずが凶暴化したユキダルモンの絶対零度パンチに襲われる。進化できないアグモンをサッカーボールに見立て、自称エースストライカーの渾身のキックでシュート!実力は相当なもの。ユキダルモンを正気に戻した。謝礼し怪我を気遣うユキダルモン、いいデジモン。ガブモンと子どもがあっちに落ちるのを目撃したという。親切にも、あっちの島へパンチを活用して連れて行ってくれる。肩に乗せてくれたけど、冷たいよ!笑

猛吹雪の中、風邪気味なのに必死でタケルを探し回るヤマト。手袋があってもノースリーブは寒かろう。せっかく洞窟があったのに、休憩を取るどころかタケルの不在に落胆するばかり。そんな姿をいたわって火を起こし、ガブモンはタケルを探してくる、と出ていく。が、それでもヤマトはいたたまれない。結局探しに出て吹雪の中昏倒してしまう。凍死も危ぶまれ、ガブモンは恥ずかしくて脱がずにいた毛皮をヤマトに掛けてやる。決心の要る温かな思いやり。毛皮を脱いだのは後にも先にもこれっきり。いや、実は「デジモンアドベンチャー ドラマCD③」で一度毛皮を脱いでいる。夜は更けて、しかしそこに、正体不明のデジモンが近づく…。

夜が明け、やっとあっちの島へ着いた太一たち。ヤマトと合流でき手を取り合って喜ぶのも束の間。ユキダルモンは、(タケルらしき)子どもは目撃しておらず、またも落胆するヤマト。今後の方針を巡って、皆きっと大丈夫だからと海の向こうのことを言う太一と、どんな手段を講じてでもタケルや皆を探すのが優先だというヤマトと激しく対立して殴り合いの大ゲンカになってしまう。ある意味従来通りの子どもらしい。だが今どきの子どもなら陰湿ないじめが主で、こんな肉弾戦はやらないんじゃないか?同人界では太ヤマ・ヤマ太ともお盛んだったが、この二人、そもそも親友という設定なのか?少し疑問を抱く。理由の一つ目は、仲の良い場面よりも何かというとすぐ対立しケンカになる場面が多いこと。二つ目は、ヤマトが家庭の事情という大切な情報を太一にすら打ち明けていなかったこと。けれど、ケンカ中の会話では互いの意見を踏まえつつも自己主張をしており、関係の深さが表現されてはいたので、考えすぎか。

●太一:からかう意図はなかったが、ガブモンに「デジモンも風邪ひくのか」と軽口を叩きヤマトを怒らせる。ちょっと無神経。

●ヤマト:タケルの安否を気遣い何度も無茶をする。太一とのケンカで「タケルは一人じゃ何にもできないんだよ」と涙を見せタケルの保護者として異様なまでに必死なのは、それが自分のアイデンティティであるから。丈とはまた別のヤマトなりの責任感と慎重さ、太一のように行動・前進あるのみといかないのは、考えなしには動けない複雑な家庭環境が一因だろう。

●アグモン:ファイル島の外のことは知らないと明言、デジタルワールドのほんの一部しか知らないのは他のパートナーデジモンも同じだろう。あっちの島への長い道のり、飛べないと太一にからかわれ、拗ねるのがカワイイ。

●ガブモン:無茶するヤマトが何を言ってもそれに忠実に献身的にフォローするのが、ガブモンのパートナーとしての在り方。毛皮を脱いでヤマトをかばって自分が風邪をひいてしまう。でも、ヤマトの回復と会心の笑みがそこに。いい笑顔、よかったー。ヤマトのタケルへの想いを目の当たりにし、二人を離した黒い歯車を憎しみを込めて攻撃したところ逆回りを始めた。デビモンこそが戦うべき相手。それで太一とヤマトのケンカは一段落、手を握り合い協力を決意。さて他の子たちは…。

●ユキダルモン:もともとなごみ系で好戦的でない成熟期。メラモンが大の苦手という。伊藤さんは太めでのんびりした役がお似合い。なのでユキダルモンにもぴったり。黒い歯車から助けられてからは大活躍。まず子どもとガブモンの落下を目撃しており、そこへ太一たちを送ってくれたり、落ちる太一たちをクッション(触ると冷たいけどカチカチではなく柔らかいのね)になって救命したり、食べ物と薬草を採ってきてくれたり、モジャモンと戦ってくれたり、他の子どもはよそへ落ちたんじゃと情報をくれたり、ストーリーの要となった。

●モジャモン:のんびり屋で普通は雪山の奥地に生息しているが、黒い歯車のせいで凶暴化した幻の珍獣型・成熟期。一時的に大型化もしたせいか強く、成熟期3体を相手に大奮闘。歯車が外れて、おとぼけキャラを披露。

<ユキダルモン:伊藤健太郎さん>声優、舞台俳優にして、マウスプロモーション所属、劇団K-Show主宰。デビュー当時は二枚目役だったが、その後ハム太郎のタイショー君、NARUTOのチョウジなどコミカルなおデブ系が知られる。なので、ヒカ碁の加賀鉄男役にはちょっとびっくりした。俳優の伊藤健太郎さんと同姓同名。

<モジャモン:家富ヨウジさん>俳優にして声優、かつてはスターダストプロモーションに所属していたが、いかなる事情か現在芸能活動はほぼされてないよう(十数年ぶりの2020年「魔女見習いをさがして」の菱友社員役が最新だからして廃業はされてないようだが)。

次回予告:ミミと光子郎が迷い込んだ不可解な遺跡の守護者・ケンタルモンも歯車の被害で襲って来る!

(2023/12/31 記)

 

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