デジモンテイマーズ第1話

デジモンテイマーズ第1話「ギルモン誕生!僕の考えたデジモン」感想

脚本:小中千昭 演出:貝澤幸男 作画監督:清山滋崇 美術:渡辺佳人 (2001/4/1 放映)

公式には200✕年。
冒頭に出てくる白いモン(金田朋子)は、シリーズ3作目であるからしてデジモンと推測される。またDWの中では弱肉強食の状況だとわかる。そしてそれを監視する者がいることも示される。DWから衝撃でRWへ飛び出してしまった白いモン。その個性を見出されて役についたという金田朋子さん、今現在はバラエティ番組などにも出演されて、ハイテンションなキャラで育児中という面が幅を利かせているが、当時はどうだったのだろう。
タイトルコールは、シリーズ通して基本はタカト。たまにその回でフィーチャーする別のキャラが担当。
公園でカードゲームに興じる小学生。普通の学校指定の帽子を誰もつけていないのはまあ良しとしよう。デジモンがゲームの中での既知の存在として居る世界。カードの中には、先程現れたメタルティラノモン(ダークティラノモン)とメイルドラモンもある。主人公が切り札に浸かったのは「秘めたる力の発現!!」という進化を促すカードなのが象徴的。主人公は平らな形のカードリーダーを持っている(CARD FIGHTER EXと銘打たれている)。
タカト(津村まことさん)という名が明らかになる。太一、大輔に続いてた行の名の主人公。しかし「啓人」と書くのも「タカト」と読むのもどちらも珍しい名前。ガキ大将でもなく不登校でもないごく普通の小学生という印象。
公園の時計は8時20数分、遅刻もやむなし。タカトは自分のカードの中から見たことのない不思議な青いカードを見つけ、スラッシュしてみると閃光と共にカードリーダーが変調をきたす。青いカードのデジモンのシルエットはギルモンの咆哮と思われる。
タカトの生活圏内に都庁が控えていることが示される。国の機関であるヒュプノスが都庁舎にある設定にしたのは「些か時代感覚を狂わせる様なゴシック的佇まいを感じていたから」と小中氏は書いている。確かにその威容は、大建築家・丹下健三氏らしい大仰さだと思う。1991年4月に丸の内から業務移転。
タカトが駆け込んだのはかつては存在した「新宿区立淀橋小学校」。遅刻の罰だが、廊下に立たせる行為は教育を受ける権利を侵害する違法行為である。という認識がいつ定着したのかは調べてもよくわからなかったが、この描写にクレームは来なかったという。
授業は国語、萩原朔太郎の「旅上(りょじょう)」という詩を取り上げているが、こんな難しいこと小学校でやるかな。

旅上
「けぶれる空に麥ながれ、 麥ながれ、うれひをのせて汽車は行く。たづきも知らに、わが喰むむぎの蒼さより、あはれはるばる、 み空をながれ汽車は行く。」
板書の「ランス」とは、朔太郎が行きたかった、 ノートルダム大聖堂 が有名なフランス北部のマルヌ県の郡および市。

廊下でもデジモンに夢中で、自作のデジモンを描くタカト。その名はギルモン。guilty有罪の、罪を犯した、という言葉から命名されたというが、ギルモンなんか悪いことした?
それが先生(浅沼奈美:松谷彼哉)にばれて居残りで反省文を書く羽目に。クラス全員に笑われるが、なぜかジュリだけは笑っていない。2008年の情報だが、居残りは基本的に違法。合法となる条件は①児童の自主的な活動である②監督教師がついている③最終下校時刻までの活動、という。他にも強制なら違法、とか教師の裁量内で可とか、いろいろ意見が分かれていた。
しかしタカト、またもギルモンメモを参照。不思議少女加藤さん(浅田葉子)にからかわれる。思わせぶりなジュリと照れるタカトのタカジュリのファーストエピソード。ソックパペットは、スケッチの段階で中鶴氏が描いたものがそのまま脚本に引き継がれたという。さん付けというよそよそしさ(恥ずかしさ)は、最終話まで続くことになる。
次のヒュプノスの場面。「ネットワーク内で自律的に活動する異分子を‘ワイルドワン’と呼称している。野生化した疑似意識体、といったニュアンス」と小中氏。顔見せはまだだが、ジッポをせわしなく鳴らす金髪の男(千葉進歩)が映される。山木という苗字は、日本のスタジオミュージシャンからもじった小中氏の慣例により、ドラマーの山木秀夫氏が元ネタという。さすが軽音楽部出身の小中氏。ミステリアスなこの機関とこの男に、興味がそそられる。オペレーター(永野愛、宮下富三子)。
街に不穏な風が吹く中、公園へ戻ったタカト。カードリーダーが形を変えていた。アーク、キター!!
タカトの家はけやき橋商店街の中のパン屋。タカトのリアリティがぐっと増す。父は剛弘:金光宜明、母は美枝:松谷彼哉。18時に帰宅、カードケースを空けると確かにデジヴァイスが。何か起きる予兆のように雨が降り出す。デジヴァイスがいつの間にかギルモンメモをスキャンしついにデジタマが生まれる。
ひどくなる雨、大切なアークを握りしめて眠るタカト。この夢を小中氏は体外離脱体験としている。見えるのはタイトなファッションにサングラスの少女テイマー・ルキとレナモンの対ランクスモン戦。冷静なたたずまいと表情のルキ、高速プラグインBをスラッシュし圧勝。目の当たりにしたタカトは、デジタマを見ながらデジモンが現実の世界にもいるのではと思う。
一方迷子のクルモン。「~でぇすか?」「~だクル」といった口調は貝澤氏の指示という。いわゆるキャラ語尾だが、クルモンに限って言えばアニメアニメした嫌な感じは受けず、金田氏の功績だろう。
昨夜の夢を熱弁するタカト、しかし級友ヒロカズ(玉木有紀子)とケンタ(青山桐子)に軽くあしらわれてしまう。この二人の小学生男子ぶりは可笑しくもリアルでお見事。小中氏も絶賛。タカトが「テイマーの証」と取り上げたアークはデジタマが割れている!何かが生まれた、確かめるんだ、とアークの示す方へ走り出すタカト。行動力のある一面が現われている。それはともかくも生まれたデジモンのため。いよいよギルモンが現われる!その気配を、ジェンリャの妹小春もルキも感じ取る。テリアモンがデジモンであることを隠してぬいぐるみのふりをしているのがわかる。
タカトの上あごの汚れ、口ひげに見えてしまうので何とかならなかったのだろうか。西新宿の、普通なら通れない工事現場の様な異変の現場にたどり着くタカト。ものすごい風圧、そこに居たのは何とタカトが描き上げたところのデジモン(野沢雅子)が実体化。「ギル?」と言葉少な。野沢氏の圧倒的実力は、これだけでもわかる。しかしタカトを生みの親と認識はしていない。ばかりか、現場で火球を放ってタカトを怯えさせる。生まれたのはうれしい、だけど狂暴そうで何なの?怖い、そこで話は終わる。

「テイマー」とは猛獣使いのこと。無印・02で唯一無二の子どもたちのパートナーとして描かれたデジモン。ゆえに、飼い主としてデジモンを操るという語感に抵抗のあったファンは多かったのでは。でも、シリーズが進むにつれテイマーとデジモンのパートナーシップが描かれ、究極体進化においては子どもがデジモンと一体化するというミラクルが描かれ、マイナスイメージは払しょくされたように思う。
津村まことさん、テイマーズで初めて知った声優さんだった。そのあどけないナイーブな声にドはまりした。ヒカルの碁の筒井公宏役、鉄腕アトムのアトム役も同様。もともと私は熱血主人公はあまり好きでなかったので、泣き虫で少し内気で感性豊かな非熱血主人公の登場を歓迎した。テイマーズはどのキャラも平均して好きで、キャラ萌えは少ないのだが、タカトとメガネっ子枠のケンタは少し萌え度が上がる。ガブモンを熱演された山口眞弓さんの声の低さを生かした、まさかの子ども側のジェンリャの配役も素晴らしいと思う。折笠富美子さんの硬質な声もルキにぴったりと思う。
大好きな青山桐子さんについても一言いうと、テイマーズのメインキャラ健太が実質デビュー作で、ドラマCD「Days~情報と非日常~」には出演なさっていないのが残念だが、声優活動は続けておられるようでうれしかった。

次回予告:第2回にして李君の実質登場。タカトをテイマー失格と、なかなか手厳しい。けど同じ学校ならいろいろと仲良くできそうで楽しみ。フィニッシュコールはタカトと李君。

(2021/7/22 記)                   もどる